<Header>
<Author: 杜甫>
<Title: 登岳陽樓>
<Format: 格式不明>
<Year: 1964>
<BookName: 唐詩選　上>
<Translator: 斎藤晌>
<style: 漢文無假名>
<style2: 日本漢文訓讀無假名標注>
<TranslatedTitle: 岳陽樓に登る>
<BookPage: 239-240>
<UsedPage: 2>
<Feature: 1, 4>
<End Header>
<Poem>
昔聞洞庭水，
今上岳陽樓。
吳楚東南坼，
乾坤日夜浮。
親朋無一字，
老病有孤舟。
戎馬關山北，
憑軒涕泗流。
<End Poem>
<Translation>
昔から洞庭湖の壯觀については、かねがね話には聞いていたが、今、はじめて自分自身この地へきて、岳陽樓に登って眺めてみて、いかにも雄大な風景に心をうたれた。吳楚の地方が二つに裂けて東南にへ だたり、はてしも知らぬ水面は、晝も夜も、天地萬物を浮かべて漫々とたたえている。しかし考えてみれば、わがさすらいの身の上はなんとはかないものであろう。親類や友人たちからは一片の手紙らしいものもきはしないし、年老いて病弱の身にはただ一そうの小舟があるばかりだ。聞けば、あの山々の彼方の、北のほう都の近くには吐蕃が侵入して兵亂のたえまがないということだから、いつになったら帰れるか、わかったものではない。自分はちかくの欄干にすがって、さめさめと涙が流れ出てきてしようがなかった。 
<End Translation>
<Formatted Translation>
昔から洞庭湖の壯觀については、かねがね話には聞いていたが、
今、はじめて自分自身この地へきて、岳陽樓に登って眺めてみて、いかにも雄大な風景に心をうたれた。
吳楚の地方が二つに裂けて東南にへだたり、はてしも知らぬ水面は、
晝も夜も、天地萬物を浮かべて漫々とたたえている。しかし考えてみれば、わがさすらいの身の上はなんとはかないものであろう。
親類や友人たちからは一片の手紙らしいものもきはしないし、
年老いて病弱の身にはただ一そうの小舟があるばかりだ。
聞けば、あの山々の彼方の、北のほう都の近くには吐蕃が侵入して兵亂のたえまがないということだから、いつになったら帰れるか、わかったものではない。
自分はちかくの欄干にすがって、さめさめと涙が流れ出てきてしようがなかった。 
<End Formatted Translation>